人に褒めてもらったら、嬉しい。
認めてもらえたようで、素直に嬉しい。
今でこそ褒めて頂いたら、素直に嬉しい気持ちを表明しているが、
以前の私は、そうではなかった。
もう何年も前の話になるが、以前の職場で今も忘れられない会話がある。
医療機関の受付をしていた頃、フランクなこのキャラクターにより毎日のように患者さんとの会話が繰り広げられていた。
患者さんと話すのは楽しかった。忙しい業務の中であっても少しでも会話できることが嬉しかったし、たくさんの人と話したことで気付いたことも多く、それは今でも私の宝物になっている。
ある日、定期的に来る方と会計をしながら他愛もない話をしていた。
するとその方は「あなたの会話は面白いね。きっとあなたは頭の回転が良いんだね」と仰った。
私としてはただただ言いたいことや思ったことを言っただけなのに、それでもそんな風に思ってくれる人もいると褒められて嬉しかった。
しかし
いや、褒められても謙遜してこそ日本人。ましてや、その方は地位のある方なのだから真に受けるのも・・・そう考えて
「いやぁ、私なんてそんなたいしたものではないですよー、どうしようもない人間ですよー」と答えた。
(今にして思うと、そりゃ謙遜っていうか自分を貶めているかのような言い方じゃないか)
すると、その方は私に静かに自分の気持ちを話してくれた。
「うーん、あなたはきっと謙遜しようと思ってそんな風に言ったんだと思うけどね。
僕はあなたと話していて、会話が面白いのは本当に頭の回転が速いからだと思ったんだよ。
ただ素直にすごいなと思って、それをあなたに伝えたくて褒めたんだ。
だけどそんな風に言われると、なんか僕は否定されてしまったようで悲しくなってくるよ」
それを聞いたときにハッとした。私はその方にとても申し訳ないことをしてしまったと感じて、悲しくなってしまった。
褒められ慣れていない私は、褒められたときにどう反応していいのかが分からず、今までの経験上での
「謙遜する」ことがいいのだと勝手に思っていた。
しかし褒めた側の人からすると、
「あなたのここが素晴らしい」と、自分の気持ちを伝えたのに「そんなことはないですよ」と言われると
なんとなく否定されたようで悲しい気持になるだろう・・・・。
そして、その方がそうしてくれたように、私も自分の気持ちを伝えた。
「本当は、そう言われてすごく嬉しかったんです。ありがとうございます!」
その方は、嬉しそうに笑って
「そうそう、褒められたら素直に嬉しいって言ってくれると、僕も嬉しくなるからね。
こちらこそ、ありがとう」
そう言って、帰って行かれた。
私はそこで「褒められ方」を学んだと思う。
人に褒めてもらえると嬉しいと思う人は多いが、褒められた時にどう反応すればいいのか分からずに、「そんなことないですよ」と謙遜したり、無反応になってしまう人も多いように感じる。
それから私は褒められたら「嬉しいです!ありがとうございます!」と素直に言うようにしている。
だって、本当に嬉しいから。私の気持ちを相手に伝えるようにしている。
すると、以前よりも褒められることが多くなったような・・・。
そして褒められると嬉しいと同時に、褒めた方も素直に喜んでくれると嬉しいという事も知った。
褒められるのも嬉しいけど、褒めて喜んでくれても嬉しい。
そこに気付いてからは、人の良いことろを「あなたのこういうところがすごいと思う」と素直に言えるようになっていった。そして嬉しいと言ってくれると、こちらも嬉しい。
そして褒められた人も嬉しいから、他の人を褒める。そして喜んでくれると、自分も嬉しくなる・・・・。
そのようにして、巡り巡っていくと良いなぁと密かに思っている。
褒められたいけど、誰も褒めてくれない。
そう思っている人は、自分なりに誰かの良いことろを見つけて、それを伝えてみてはいかがでしょうか。
褒めるのと褒められるのは同じように嬉しい気持ちになれる、素敵な方法です。
そして褒められたら、私のような謙遜はせず、是非嬉しい気持ちを素直に出してみてください。
お互いが嬉しい気持ちになる「褒められ上手」になりましょう!